「第3回新聞なぞとき研究コンクール」概要
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主 催
- 朝日新聞大阪本社・朝日学生新聞社
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後 援
- 大阪府教育委員会、京都府教育委員会、兵庫県教育委員会、滋賀県教育委員会、
奈良県教育委員会、和歌山県教育委員会
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応募期間
- 2023年7月〜9月
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対象学年
- 小学校4年生から中学校3年生
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応 募 数
- 714点
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選考委員
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- 代表
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藤原 孝章(同志社女子大学名誉教授)
- 委員
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安田 陽子(大阪NIE推進協議会事務局長)
德永 加代(帝塚山大学教授)
小林 杉男(朝日新聞大阪本社代表室長)
今澤 勇(朝日学生新聞社大阪支社長)
全体講評
新聞なぞとき研究コンクールは今年で3回目を迎え、小・中学生から714点の応募がありました。作品の応募キットの申し込みが3000件を超えていましたのでコンクールはほぼ定着したともいえます。今回はウェブサイト掲載事例を参考にした洗練された作品が多くありました。学校単位の応募、個人での連続応募に加え、きょうだいなど家族での取り組みもあり、新聞なぞとき研究が一つの「学びの場」となっている様子を想像できます。私たちは、問いの質や深掘りの問い、答えの表現のしかた・伝え方、自分の体験を踏まえた書き方などを期待して審査し、各学年で最優秀賞と優秀賞、アイデア賞を選びました。
自動的に質問に答えてくれる生成AIなどが広がっています。しかし、ことばの意味だけではなく、世の中のことがらに「なぜの問い」をもち、考えを深め、自分にはどんな関わりがあるのか、探究の学びを深めてほしいと考えています。これからも新聞なぞとき研究を通じた学びに期待しています。
選考委員代表:藤原孝章 名誉教授
(同志社女子大学)
小学校4年生
なぞとき研究テーマ
五感を使って すずしく過ごす
受賞者のことば
最優秀賞に選んでいただきありがとうございます。とてもうれしいです。
私は、普段からわからないことがあると、本やインターネットで調べるようにしています。環境問題に興味を持っている私は、この記事を選びました。今年の夏はとても暑かったけれど、少しでも環境を守るためにどんなことができるのかを考えるとても良い機会になりました。わからないことを調べてわかるようになったら、楽しいしうれしいです。これからも続けていきたいです。
藤原名誉教授の講評
この夏話題になった猛暑ですが、西畑遥香さんは、異常な気象の原因や影響ではなく、電気のない江戸時代の人々の暮らしの記事について「なぞとき」しています。服装や虫の音、打ち水、すだれなど五感を使えば省エネになることを発見しています。電気のない時代の自分の暮らしや夏を涼しくする3つのおすすめもユニークで面白いです。
優秀賞
小学校5年生
なぞとき研究テーマ
「戦争なくさねば」 広島で ゼレンスキー大統領、会見
受賞者のことば
今回は、最優秀賞に選んで頂きありがとうございます。とても嬉しい気持ちです。新聞なぞとき研究をする中で、広島へ行ってひばく者の方にお話をうかがいました。かく兵器は、ばく発直後も何十年後も後い症としてひ害が出てこわいと思いました。ぼくは、このように、今の情勢をくわしく知ることができる新聞を読むことが大好きです。これからも、毎朝新聞を読む習慣を続けたいです。
藤原名誉教授の講評
髙橋光一さんは、この夏話題になった広島G7 サミットに着目しています。新聞やテレビだけではなく、自らも広島を実際に訪問して、この新聞記事にある「平和記念資料館、ひばく者、いれいひ、かく兵器、戦とう機」など多くの言葉に付箋をつけ、丹念に調べ、自らの疑問を解いています。学びのあとが手にとるようにわかります。
優秀賞
アイデア賞
小学校6年生
なぞとき研究テーマ
虐待保護 AI活用課題
受賞者のことば
最優秀賞に選んで頂きありがとうございます。姉が応募していて、それにつられて一緒に応募したら、まさかの最優秀賞だったのでびっくりし、嬉しい気持ちがあふれてきました。私は、新聞の記事をこんなに深く読む事がなかったので、記事を選ぶ時もとてもワクワクしていました。このコンクールに応募して、自分で「なぞ」を見つけて「答え」を調べて書くということはとても楽しい作業だと知る事ができました。この経験を活かして新聞を毎日読んだり、日頃から「なぞ」をみつけたりしていきたいです。
藤原名誉教授の講評
和田咲希さんは、「虐待」ということばに関心を持ち、その数が増えていることに疑問を持ちました。まず漢字の意味を辞書で調べ、児童相談所の人手不足などによって、その「保護」に課題があることを学んでいます。本来ならデータを集め、児相の負担を補う役割を果たすAIも人間の活用次第であるとまとめている点も評価されます。
優秀賞
中学校1年生
なぞとき研究テーマ
デフリンピック 2025年東京で開催
受賞者のことば
私も母も耳が聞こえません。私はスポーツが元々好きですが、聞こえない選手のみの国際大会であるデフリンピックについて小3まで知りませんでした。2025年東京でデフリンピックが開催されると自転車競技の審判として参加する友人に聞き、この機会に調べてみました。歴史があること、世界共通の国際手話で会議をしていること、など発見がたくさんあり、皆さんに紹介したいです。そしてもっと聴覚障がいについて知ってほしいです。
藤原名誉教授の講評
赤木斗和さんは、2025年に東京で開催されるデフリンピックに着目しています。パラリンピックと同様、聴覚に障がいを持つ人々がスポーツに参加し、競技をする際のルールや特別の配慮について、自分自身が聴力を補助する器具を身につけ、スポーツをしている体験をもとに、自分ごととして「なぞとき」をしている点が良かったです。
優秀賞
中学校2年生
なぞとき研究テーマ
不登校 メタバース居場所に
受賞者のことば
この度は最優秀賞に選んでくださり、ありがとうございます。とても嬉しいです。
新聞は漢字や知らない言葉が多く、難しいと思っていました。しかし、自分に身近なテーマや興味のあるテーマもあり、私は今回、自分の同世代を対象とした「不登校 メタバース居場所」について、なぞとき研究をしました。
言葉の意味を調べていくと、より詳しく知りたいという思いが強くなりました。自分でなぞを作り、自分で答えを導き出すことが楽しく、ワクワクしながら取り組みました。
藤原名誉教授の講評
杉江衣咲さんは、社会や学校の教育課題である「不登校」と、それを解決する一つの手段として、最近話題になっているメタバースを活用した「中高生支援プログラム」に着目しています。質の高い教育のあり方を模索するNPO活動に問いを立て、不登校の子どもたちの居場所づくりの意義を「なぞとき」によってよく引き出しています。
優秀賞
中学校3年生
なぞとき研究テーマ
人間の活動 地球史揺るがす
受賞者のことば
このたびはこのような素晴らしい賞を授与していただき、誠にありがとうございます。僕は何度も読み返したいと思う新聞記事に出会い、世の中を変えるにはどうすればいいのか?と考えることが増えました。
大きく変わりつつある地球環境や主義主張、グローバルに繋がりつつも分断される国々や人種、貧富の差。問題山積みの中に生きて、目を背けたくなることが多いです。それでも僕はこれからも自ら考え、未来に希望を持ち続けたいです。
藤原名誉教授の講評
寺田龍平さんは3年連続の受賞です。今回は一般紙の記事に挑戦し「なぞとき研究」の進化を感じさせます。キーワードへの着目の仕方とカラフルな付箋カード、賛成・反対を含めた問いと答えの見せ方に工夫のあとがあります。これまでの龍平さんの科学技術への興味関心が、地球史における人類の行為への問いへと昇華しているようです。
優秀賞
第3回 新聞なぞとき
研究コンクール(2023年)
小学校4年生の部
小学校5年生の部
小学校6年生の部
中学校1年生の部
中学校2年生の部
中学校3年生の部
第2回 新聞なぞとき
研究コンクール (2022年)
第1回 新聞なぞとき
研究コンクール (2021年)
朝日小学生新聞2023年7月24日付記事。朝日新聞2023年5月22日付記事。(朝日新聞社に無断で転載することを禁じる。承諾番号23-3033)朝日新聞2023年7月15日付記事。(朝日新聞社に無断で転載することを禁じる。 承諾番号23-3033)読売KODOMO新聞2023年6月15日付記事。(※読売新聞社から使用承諾済み。一部写真を加工しています)京都新聞2023年7月17日(※京都新聞社から使用承諾済み。)朝日新聞2023年7月13日(朝日新聞社に無断で転載することを禁じる。 承諾番号23-3033) / 一部写真を加工しています。